農薬とは
農薬とは、農産物の育成に必要な薬であり、主に殺菌剤、殺ダニ剤、殺虫剤、除草剤、殺鼠剤、植物成長調整剤(通称「植調」:植物ホルモン剤など)など「化学農薬」と、害虫の天敵となる微生物や菌を利用する「生物農薬」があります。他にも、重曹や食酢、珪藻土粉剤、ワックス水和剤などがあり、これは生物農薬と同じ「特定農薬」に分類されます。
「化学農薬」は、毒性が強いことから使用基準などが設けられているのに対して、「特定農薬」は、毒性が低く、環境や健康に影響がないことから使用基準などが設けられていません。
生産者の殆どが生産性効率のよい「化学農薬」を使用しており、特に危険性が高く人体や生物への影響が危惧されているネオニコチノイド系農薬は、日本の米に多く使われています。
日本植物防疫協会の調査によると、農薬を使わないことで収穫が減る米の減収率は平均24%です。
対して、他の穀物や青果の減収率は、小麦36%、大根39%、きゅうり61%、キャベツ67%、りんご97%...であり、米はこれら農産物と比較すると、減収率が低く、農薬を使わない栽培を実現しやすいことがわかります。
しかし、慣行農法と比べて膨大な手間と労力のかかる農薬を使わない栽培を選択する生産者は少なく、人間の生殖・発達を妨げミツバチの大量死の原因と言われているネオニコチノイド系農薬を始めとした農薬が多くの米に使われています。
許容農薬とは
有機JASでは、農作物に急迫または重大な危機がある場合であって、通常の有機農産物に係わる防除方法のみでは有害動植物を効果的に防除できない場合に限り、有機農産物の国際基準に準拠した農薬の使用が認められています。それら有機JASで使用を認められた農薬類のことを「許容農薬」といいます。
有機JASマーク
◆有機農産物のJAS規格「別表2」で指定されている許容農薬の分類表
有機JASでは、このような許容農薬が指定されており、使用時の希釈倍率、圃場10アールあたりの使用量、使用時期、使用回数、使用方法が規定されています。