「世帯の生活意識の年次推移」 厚生労働省 2023(令和5)年 国民生活基礎調査より
日本は賃上げ傾向なのに、その実感がわかないのはなぜ?
企業の賃上げが話題となっている一方で、2023年に厚生労働省が行った国民生活基礎調査で生活が「苦しい」と回答した世帯は全体の59.6%にのぼりました。
2024年10月からの最低賃金の全国平均は時給1,054円となり、HIRYUの所在地である千葉県の最低賃金は昨年より50円引き上げの1,076円、東京都は1,113円となります。
2014年に千葉県の最低賃金は798円、東京都は888円でしたが、この10年の間に急激に上昇しました。
月給についても、2024年春闘の最終集計による賃金の引き上げ額(昨年比)は、
[大企業] 引き上げ額:平均1万9210円 引き上げ率: 5.58%
[中小企業] 引き上げ額:平均1万712円 引き上げ率: 4.01%
とバブル期の1991年以来、33年ぶりの高水準でした。
労働者が実際に受け取った「名目賃金」にあたる現金給与総額も、3.6%増の40万3490円で、31カ月連続のプラスとなっています。
このように賃金が上がる中、家計が苦しい理由は異常なほどの物価上昇にあります。
2021年から始まった値上げラッシュは、2024年現在も続いています。
1990年代から2020年代初頭にかけての約30年、日本ではデフレが続き、物価上昇率はほぼ0%でした。
ところが、2021年から2024年のたった3年間で、物価は10%も上昇しています。
2024年10月に値上げが予定されている食品は今年最多の約3,000品目であり、数度目の値上げとなる商品もあります。
さらに、10月1日からは、ハガキの料金が63円から85円に、定形郵便の封書が84円から110円に値上げされるなど、郵便料金も上昇します。
度重なる宅配便の値上げ、ホテルなどの宿泊費の値上げも続いています。
また、2021年に変動価格制が導入された東京ディズニーリゾートのチケットも、2023年に値上げが発表され、繁忙期の価格が10,900円に引き上げられたことが話題となりました。
物価の上昇が止まらないため、賃金が上がっても、物価高騰を差し引いた「実質賃金」は5月分まで過去最長の26カ月連続マイナスとなりました。
実質賃金がマイナスであるため、生活は苦しいままです。
6月分(前年比1.1%増)と7月分(前年比0.4%増)の実質賃金はわずかにプラスに転じ、今後も回復予想ではありますが、主食である米価格の高騰により回復に抑制がかかることも考えられています。
物価高に負けない生活を送るには
賃金が上がっていない世帯はもちろん、上がった世帯でも、それ以上に上昇している物価に対応できるよう生活を工夫することが必要です。
そのために必要なこととして、いくつかのポイントを紹介します。
●自炊をする
男女別にみると、男性は平均44,466円、女性は平均は36,729円であり、男性の方が付き合いなどにより外食が多いからだと見られます。
1ヶ月の食費は収入の10%~15%を目安にするのが理想的だと言われており、例えば収入が20万円の場合、食費は20,000円~25,000円が目安です。
作り置きや保存食づくりなども工夫し、外食や出来合いのものを買うのではなく自炊をすることで節約になります。
●買い物を週に1~2回に減らして計画的に行う
食費の予算を週単位で決め、チラシなどで特売日を確認し、計画的に買い物を行います。
多めに買った食材や作り置きした料理を冷凍保存したり、備蓄食品のローリングストックを利用しながら、冷蔵庫の中を整理してまた次の買い物に行くサイクルを作りましょう。
●ふるさと納税を利用して節税をする
寄付金額に対して最大3割の豪華な返礼品が受け取れるため、家計が助かります。
●家庭菜園を行う
実際に猛暑による野菜の不作と高騰が問題になった際には、家庭菜園で栽培した野菜でしのいでいるという方が多くいました。
ただし、連作障害なども考え、計画的に始める必要があります。
●水道光熱費の見直し、節約
電力会社・ガス会社の見直しから始め、契約アンペアなど料金プランの見直しのほか、電気の主電源を切り最低限の電気を点けること、追い炊きしないよう風呂は続けて入ること、コンロの周りの掃除・・・。
そして初期費用は掛かりますが、家の照明をLED電気に替えることや、最新家電への切り替えなども光熱費を減らすことにつながります。
これらを徹底すれば月に8,000円以上安くなるというシミュレーションもあるため、家計の節約に大きく役立ちます。
●不用品の売却
資源の再利用にもなり、お金も増える。賢い方法なので、ぜひ実践してみてください。
●ポイントやクーポンの活用
ポイントアップの日をチェックし、計画的に買い物をすることも有効です。
また、それらショップのクーポンや、様々なクーポンアプリを利用して割引を受けることも節約に有効です。
●値上げ告知をチェック
特に日用品や必需品、備蓄できる食品などは、必要分+αを購入しておきましょう。
HIRYUで販売している商品も、昨今の原料や物流費・人件費の上昇を受けて、メーカーより値上げが告知されている商品があります。
まとめ買いや備蓄ができる商品もありますので、値上げ前の購入をおすすめします。
2020年の政府の統計によると、単身世帯の1ヶ月の食費は平均で40,331円でした。
買い物に行く回数が多いほど、無駄に買い物をしてしまう傾向があります。
自分の選んだ自治体に寄付をし、寄付額から自己負担の2,000円を除いた金額が、所得税や翌年の住民税から控除されます。
初期費用、種や苗、農具などの費用を考えると野菜を買った方が安いと思うかもしれませんが、異常気象が続き長期的に青果が高騰していく可能性を考慮すると、節約のひとつの手段として有効です。
総務省の統計「家計調査年報 2023年」によると、水道光熱費の総世帯全国平均は1ヶ月当たり19,867円です。
いつか使えるかもしれないと思いながら使わずにしまってあるものも、「1年使わないものは売却する」など自分でルールを決めることが必要です。
Rakutenポイントやdポイントなどのほか、よく利用するショップのポイントを貯めることを意識することで、ポイント利用できるため非常にお得にお買い物ができます。
値上げが告知された商品を前もってある程度まとめ買いをすることで、将来的な価格上昇の影響を受けにくくすることが重要です。