パントテン酸(ビタミンB5)
「パントテン酸」(pantothenic acid)は、ギリシア語で「広くどこにでもある」という意味の通り、色々な食品に含まれており、特に豆類や干し椎茸に多く含まれている水溶性のビタミンで「抗ストレスビタミン」とも言われ、単独で摂るより、ビタミンB6・ B12、ビオチン、葉酸、カルシウムと一緒に摂ると効果的で、糖質・脂質・たんぱく質の代謝に不可欠な補酵素です。
副腎皮質ホルモンの合成を促し、血糖値を上昇させてエネルギー産生し、アレルギー・ストレス・疲労回復に効果を発揮するほか、善玉コレステロールの増加、動脈硬化・心筋構梗塞の予防などの作用をもちます。
エネルギー代謝の補酵素
炭水化物や脂肪は、ブドウ糖(グルコース)まで分解され、ブドウ糖の酸化で生成するピルビン酸から更に補酵素Aと言われるコエンザイムA (CoA)に変化して、更に補酵素アセチルコエンザイムエー(アセチルCoA)へと変化して、クエン酸回路(以下TCA回路)で回転することでエネルギー代謝され、脂肪酸の合成に必要な酵素であるアシルキャリアプロテイン(ACP)の補欠分子族(補酵素と同じ酵素の補助因子)である4'-ホスホパンテテイン(4'-phosphopantetheine)の構成物質となります。
他にも善玉コレステロールの生成や副腎皮質ホルモン(ステロイドホルモン)の分泌に関与しています。
他のビタミンとの相乗効果
ビタミンCの作用を助けるので、疲労、ストレス、アレルギー、傷跡の回復、皮膚の健康状態などの治療薬に配合されており、特にニキビの治療薬や手術後のキズの治りをよくする薬などによく配合されています。
ビタミンB2・ナイアシン(B3)と協力して働き、脂肪酸の合成と分解を促進して、皮膚や毛髪、神経組織を正常に保ちます。
ビタミンB6や
葉酸と一緒に、免疫力強化に働きかけ、 風邪やインフルエンザを予防します。
欠乏と過剰
パントテン酸はギリシャ語の「どこにでもある酸」という意味がある通り、動物性から植物性まで広く含まれ、腸内細菌によっても合成されるので、通常の食生活では欠乏することがありません。
また、水溶性ビタミンなので、カラダに貯めておくことが出来ず、すぐに尿として排泄されてしまうので過剰障害の心配がありません。
食物からの摂取以外に、腸内細菌群によってもわずかに合成されます。