ルチン
概要
「そばと言えばルチン」というほど、そばの栄養素として有名なルチンは、1930年代に薬草のミカン科のヘンルーダから発見されたポリフェノールの柑橘フラボノイド配糖体の一種です。
ポリフェノールには「フラボノイド系」と「フェノール酸系」の2種類に大きく分類され、ポリフェノールの約90%はフラボノイドに属しています。
ルチンは、ビタミンに似た働きがあることからビタミンPと呼ばれていましたが、
後にビタミンPを構成する「ケルセチン」「ヘスペリジン」
「エリオシトリン」などいくつかの物質が発見され、
ルチン単体でビタミンPと呼ばれることがなくなり、日本ビタミン学会はビタミンPをビタミン様物質*として規定し、ビタミンPはビタミン扱いされなくなりました。
*ビタミン様物質とは…ビタミンに似た働きをする有機化合物。微量栄養素で体内の代謝に重要な役割を担いますが、ビタミンとは違って体内で生合成できるため、
栄養素として必ずしも摂取する必要がなく、栄養学の見地からは微量栄養素とされています。
ルチンは「健康によい」として様々な効能が謳われており、強い抗酸化作用があり、抗炎症効果や血流改善効果について数多くの論文で報告されています。
血流を改善し、毛細血管を強化し、血中コレステロール値を下げる働きがあるので、高血圧、脳卒中などの生活習慣病予防に役立ちます。
血液の流れをきれいにしてくれるので、肩コリや冷え性の改善にも効果があります。
効果・効能
●出血性の疾患を予防する効果
●生活習慣病の予防・改善効果
●心疾患を予防する効果
●糖尿病を予防する効果
●認知症を予防する効果
●変形性関節症を改善する効果
ソバアレルギーについて
ソバアレルギーの原因物質がルチンです。
ルチンには、水に不溶性でアルコールに溶解する「天然ルチン」と、水溶性の糖化した食品添加物に利用される「α-グリコシル-ルチン」があります。
天然ルチンは、日本で昔から健康に良いとされて食されてきたソバに多く含まれています。
果物(あんず類、ベリー類、さくらんぼ類、柑橘類)、野菜、小豆、緑茶、紅茶などにも含まれていますが、ソバアレルギーのような報告がありません。
天然ルチンは、抗酸化作用、色素の酸化防止効果があるにもかかわらず、溶解性が悪いため用途が限られていたので、酵素処理技術により、ルチン抽出物の12,000倍溶解度が高い「α-グリコシル-ルチン」が開発され、水溶性を大幅に高め、飲料、食品、機能性食品、化粧品などに利用されるようになりました。
「ソバは、食品衛生法によるアレルゲンの特定原材料5品目の一つとして表示が義務付けられており、ソバから抽出されたルチンには、不純物としてソバアレルギーの原因蛋白質が含まれる可能性がある。」とされています。
全てのソバにアレルギーがあるわけでなく、精製されたルチンにアレルギーの原因物質が混入されると反応するということです。
「ルチンは水溶性なので、せっかくの成分が溶け出てしまいます。そば湯を飲むことでルチンを摂取してください。」という説明をよくみますが、水溶性のルチンは食品添加物に利用される「α-グリコシル-ルチン」です。
また製麺には非常に多くの小麦粉が使用されており、このような蕎麦から蕎麦湯を摂取しようとする方法は現実的ではないとされています。
1697年の 人見必大による『本朝食鑑』から「蕎麦湯を飲まねば病気になる」と言われてきましたが、元々蕎麦屋における蕎麦湯は、朝の営業開始から時間が経過して何度も蕎麦が茹であげられた釜に澱粉質や蛋白質などが溶け出して、濃度が高くなり、茹で湯に適さなくなった所で半分交換(半抜き)する際に出来るものであり、一人前ごとに濃度の高い蕎麦湯は出来るものではありませんでした。
冷えた蕎麦を食べた後で澱粉質により葛湯のようにとろみがついた暖かい蕎麦湯を飲む事で体が温まる事も健康に寄与すると考えられてきました。
ところが、現代の蕎麦湯は、わざわざ茹で湯を煮詰めたり、蕎麦粉や小麦粉を溶かし込んで濃い蕎麦湯を作るようになりました。
蕎麦アレルギーだけでなく、小麦アレルギーの方も注意して下さい。
精製加工食品で製麺されていない本物の蕎麦は、他の麺類と比べてダントツの栄養価を誇っています。
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